でもこの試合で、ある一つのことにおける、決定的な結果が出たのだとしたら、それにボクは満足する。
満足、という表現が的確かどうかは、この際ともかく。
さて、ある一つのこと。それはもちろん、バルセロニスタならばすでにご承知の通り、ロナウヂーニョのことだ。
ここ数試合、良い流れであったスタメンを切り替え、ライカーはロナウヂーニョを選択した。それが正しかったかどうかは、すでに結果が出た後なので、ハッキリしている。失敗だった。でもこれは、おそらく多くのバルセロニスタが想定していた結果だったかもしれない。だが、いずれにしても、我らがライカーはロナウヂーニョを選択し、残念ながらボクらは散った。それが今のバルサの答えだった。
ロナウヂーニョに批判が集まっている。少なくとも、ボクが見ていた恵比寿では、彼への評価は最悪、敗因であると判断された。もちろんボクも途中で彼を要らないと思ったし、引っ込めろ、とも思った。だからきっと来年からロナウヂーニョにポジションはないと思う。何をどうしても取り返すチャンスはないだろう。なぜならボクらはロナウヂーニョの全盛を知っているからだ。失ったものを取り戻すには、あまりに高い壁。あのときのロナウヂーニョに戻るはずはないのだ。
決定的な結論。一つのサイクルが完全に終わりを告げていた。
でもこの終わり方は、個人的に、悪くない。とても良い意味で、とっても悪くない。
ボクはロナウヂーニョが嫌いだ。これは以前からずっと言い続けていることだが、全くと言っていいほど好きではない。ただ彼のゴラッソを、エコパとカンプノウと、二度もこの目に見せられたので、ボクにとっては特殊な位置にいる選手だ。
たぶんライカーの、あるいはロナウヂーニョのバルサの最高潮は04-05シーズンだろう。初めてリーガタイトルを獲得したシーズン、イニエスタがまだ控えで、でも変わらず怪我人も多く、13人くらいで試合に臨んでいた頃の話だ。
ボクが見たゴラッソもこの頃、チャンピオンズ、グループステージのミラン戦。あの逆転ゴラッソだ。今でも忘れない、でも何も憶えていない感覚、あれは本当に興奮した。ミランにも特別な思い入れを持っているボクだから、余計にそう感じたのかもしれないが、その直後のコルーニャ戦でのすべての余裕ぶりは、チームの完成度の高さを物語っていた。そして迎えたカンプノウクラシコの圧勝劇、あのときのバルサは最高だった。
それに対して、バルサにおけるロナウヂーニョの頂点はどこになるだろう。もちろんこの04-05シーズンとも言えなくはない。だけど印象度を加味すれば、二冠を達成した翌シーズンと言えるのではないだろうか。もちろん、彼とバルサとの関係で欠かすことの出来ないベルナベウクラシコでの2ゴール、間違いなくロナウヂーニョの選手としてのハイライトである。
そう、ボクはこの試合がロナウヂーニョのハイライトだと思っている。バルサにおいても、この試合がもっとも輝いた試合と言えるだろう。うん、頂点だ。
こんなことを書いていたら、いろいろ思い出してきた。
そういえば、あのゴラッソ前のロナウヂーニョもボロボロだった。怪我による出遅れがあった気もするが、その前のシーズンで見せた輝きがまるでなく、お世辞にも誉められた出来ではなかった。実際、ミラン戦もゴラッソ以外は酷いモノだった。だが、重要な試合で進化を発揮するそれは、まさに“クラック”だった。彼らはあれ一つですべてを帳消しに出来るのだ。
いつでも密かに、ロナウヂーニョが“クラック”に戻るのでは、と期待している自分がいた。チャンピオンズ決勝でも、実は今回のクラシコでも。
だってこの目で見たんだもん。
だけど結局一度だけ。でも一度で十分すぎるものをボクらは彼から頂いた。
だからバルサのクラックとして、ボクはこのロナウヂーニョの終わり方を悪くないと思う。なぜなら彼の上昇線がビッグゲーム〜クラシコ付近に始まり、最高潮をクラシコで迎え、そして終わる時もやっぱりクラシコであったという、ボクが想い描ける最高の放物線だったから。
もちろんロナウヂーニョのすべてが終わったわけではない。選手として、バルサ以外のクラブに行けば、まだ十分に活躍できる選手、まだまだ最高の選手の一人であることに違いはない。
あくまで終わったのはバルサでのサイクル。だからロナウヂーニョに魅せられたバルセロニスタとして、この試合ですべて終わりにしたい。それがファンの勝手な心理だとは理解しているつもりだが、何が起ころうと、二度とバルサでのロナウヂーニョの時代は戻ってこないのである。
と、書きながら、何もロナウヂーニョが移籍すると決まったわけではない。だから何も決まっちゃいない。
ただ、一つだけ、もうカンプノウにロナウヂーニョの笑顔が戻ってこないだろう。たったそれだけのことだ。









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